kintoneの真価、プラグインの選び方 〜作るだけだなく使いこなす〜
中小企業で社内SEごっこをしている私ですが、
先日、経営陣の判断で導入されたサイボウズ社のkintoneについて勉強しております。
「kintone導入したから、社内の仕組みをいい感じにしなさい」
そんな指令が出ており、
どうすればいい感じになるのか、
kintoneで出来ること、出来ないことは何かを精査しています。
結論として、私がkintoneに抱いた印象は以下の通りです。
※あくまでも、私個人の感想です。
サイボウズ社の社員でもなく、関連会社、取引先でもない私の率直な感想です。
- 優れた設計のノーコードプラットフォーム
- 誰でもアプリが作れる=運用ルールによる制御が大事
- 単体ではExcel以上Access未満
- プラグインやカスタマイズを使えば、社内の基幹システムとして非常に大きな可能性を持つ
上2つについては、こちらの記事でも書きました。
https://matsublog2021.hatenablog.com/entry/2021/07/21/122646
なので、今回はkintoneを単体で使う場合とプラグインなどを使う場合について、私個人の感想を書きます。
Excel以上Access未満
繰り返し言いますが、これはあくまでも私個人の感想です。
それを踏まえた上で、kintone単体での動作について私の感想は以下の通りです。
この件について、大切なのは私のバックグラウンドです。
それは、私が元SEで、自分でシステムを作れる、ということです。
前回の記事(上記URL)に記載した通り、
kintoneは出来合いの材料を組み合わせて一つの料理を作るので、
簡単に料理を作りやすいという特徴があります。
しかし、裏を返せば、細かい味付けは出来ない、ということになります。
kintoneはソフトウェア開発でよく使うものを部品化しておいて、
それを組み合わせればよくあるソフトが作れますよ、っていうものなので、
料理の例えで言えば、よくある味付けのものは出来合いで置いていて、
鶏肉だとニンニク醤油漬けや塩コショウをまぶしたものはありますが、
例えばどこかの郷土料理で牛乳に漬け込んでおいた鶏肉を使うものがあったとして、
それはレアケースなので出来合いがない=kintoneでは作ることができないということになります。
そこまで極例でなくても、もっと塩多めにするとか、醤油は九州の醤油がいいとか、細かい部分は自分では変えられません。
一方で、他のプラットフォーム、例えばAccessでソフトを作ることができる人からすると、細かいところも全部自分で手作りなので、鶏肉を牛乳に漬け込むことも、塩を多めにまぶすことも、醤油の種類からこだわることもできます。
全部手作りしなければいけない手間はありますが、その分、自分好みの味付けにできるのがAccessなど他のプラットフォームでソフトを作った場合です。
つまり、
簡単に作れるが痒いところには手の届かないkintone
手間はかかるが痒いところにも楽々手が届くAccess
という感じです。
孫の手、プラグイン
では、kintoneでは満足度の高いアプリは作れないのか、妥協しないといけないのか、というと、ここからがkintoneの本領発揮だと私は思います。
それは、プラグインです。
多数のサイボウズ社のパートナーが無償のものから有償のものまで、多種多様なプラグインを提供しています。
プラグインというのは、特殊なスキルを持った料理人です。
食料品売り場で買った食材を持ち込んで、色々なサービスを受けることが出来ます。
買った魚の骨を完全に抜いてくれたり、調味料のバランス整えてくれたり、指定した味付け、切り方にしてくれたり、スーパーで買った食材でちょっと好みと乖離があった部分をオプションで好みに寄せてくれる、というイメージです。
実例でいうと、Excelは簡単に並べ替えて帳票のように印刷できますが、kintoneのアプリは帳票印刷は出来ません。
どうしても紙に出して提出する必要がある報告書や申請書の作成には不向きといえるかもしれません。
※せっかくクラウド上にデータ保持してるのに何で印刷?と思われる方もいらっしゃると思いますが、そう簡単にいかないのが中小企業のDXの実態です。
しかし、kintoneには帳票印刷を可能にするプラグインがあります。
これも導入すれば、入力したデータを帳票形式で印刷できるようになります。
プラグインは本当に多種多様で、これらを上手く組み合わせれば、kintone単体では手の届かなかった痒い場所にも手が届くようになります。
孫の手みたいなものですね。
とはいえ、何でも出来るわけではありません。
私の知る限り、2021年7月時点において、kintoneには排他処理はありません。
同じレコードを複数人で編集した場合、最初に保存した人が勝ちます。
2人目以降はエラーが出て、せっかく編集したのに水の泡になってしまいます。
これもプラグインで!と言いたいところですが、こちらもまた2021年7月時点では完全に排他処理できるものはなく、
「このデータは誰かが触ってます」
という注意書きを出せる程度のものしかなく、データを選べなくすることは出来ません。
つまり、気付かずにデータを選べば操作出来てしまうので、完全には防げません。
オススメの導入方法
前述の通り、プラグインは多種多様で、その全てを知り尽くすのは1社内SEでは難しいでしょう
そのため、僕はサイボウズパートナーの方とか、kintoneに精通した方に相談して進めるのが良いと思います。
とりあえずkintoneを導入してから、何をしようか考えるのではなく、導入時に販売店の方と相談して進めると、プラグインも一緒に紹介してもらえます。kintone導入をゴールにしないように、kintone導入時に、どんなシステムが欲しいのか、要件を明確にしておき、どうすればそれが実現できるのか、プロに相談しましょう。
誰でも簡単にアプリを作れそうに感じるのがkintoneですが、
決して素人がプロと同じクオリティのアプリを作れるわけではありません。
最初の設計だけでもプロに手伝ってもらえば、必要なプラグインは揃ってるし方向性は固まってるので、あとのマイナーアップデートは自分で簡単に出来るので、最初は労力も費用も惜しまず、しっかり設計しましょう!