中小企業DXできたらな計画

kintoneの真価、プラグインの選び方 〜作るだけだなく使いこなす〜

中小企業で社内SEごっこをしている私ですが、
先日、経営陣の判断で導入されたサイボウズ社のkintoneについて勉強しております。

「kintone導入したから、社内の仕組みをいい感じにしなさい」

そんな指令が出ており、
どうすればいい感じになるのか、
kintoneで出来ること、出来ないことは何かを精査しています。

結論として、私がkintoneに抱いた印象は以下の通りです。
※あくまでも、私個人の感想です。
サイボウズ社の社員でもなく、関連会社、取引先でもない私の率直な感想です。

  1. 優れた設計のノーコードプラットフォーム
  2. 誰でもアプリが作れる=運用ルールによる制御が大事
  3. 単体ではExcel以上Access未満
  4. プラグインやカスタマイズを使えば、社内の基幹システムとして非常に大きな可能性を持つ

上2つについては、こちらの記事でも書きました。

https://matsublog2021.hatenablog.com/entry/2021/07/21/122646

なので、今回はkintoneを単体で使う場合とプラグインなどを使う場合について、私個人の感想を書きます。
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Excel以上Access未満

繰り返し言いますが、これはあくまでも私個人の感想です。
それを踏まえた上で、kintone単体での動作について私の感想は以下の通りです。

「kintoneはExcel以上Access未満です。」

この件について、大切なのは私のバックグラウンドです。
それは、私が元SEで、自分でシステムを作れる、ということです。

前回の記事(上記URL)に記載した通り、
kintoneは出来合いの材料を組み合わせて一つの料理を作るので、
簡単に料理を作りやすいという特徴があります。

しかし、裏を返せば、細かい味付けは出来ない、ということになります。
kintoneはソフトウェア開発でよく使うものを部品化しておいて、
それを組み合わせればよくあるソフトが作れますよ、っていうものなので、

料理の例えで言えば、よくある味付けのものは出来合いで置いていて、
鶏肉だとニンニク醤油漬けや塩コショウをまぶしたものはありますが、
例えばどこかの郷土料理で牛乳に漬け込んでおいた鶏肉を使うものがあったとして、
それはレアケースなので出来合いがない=kintoneでは作ることができないということになります。
そこまで極例でなくても、もっと塩多めにするとか、醤油は九州の醤油がいいとか、細かい部分は自分では変えられません。

一方で、他のプラットフォーム、例えばAccessでソフトを作ることができる人からすると、細かいところも全部自分で手作りなので、鶏肉を牛乳に漬け込むことも、塩を多めにまぶすことも、醤油の種類からこだわることもできます。
全部手作りしなければいけない手間はありますが、その分、自分好みの味付けにできるのがAccessなど他のプラットフォームでソフトを作った場合です。

つまり、

簡単に作れるが痒いところには手の届かないkintone

手間はかかるが痒いところにも楽々手が届くAccess

という感じです。

孫の手、プラグイン

では、kintoneでは満足度の高いアプリは作れないのか、妥協しないといけないのか、というと、ここからがkintoneの本領発揮だと私は思います。

それは、プラグインです。

多数のサイボウズ社のパートナーが無償のものから有償のものまで、多種多様なプラグインを提供しています。

プラグインというのは、特殊なスキルを持った料理人です。
食料品売り場で買った食材を持ち込んで、色々なサービスを受けることが出来ます。

買った魚の骨を完全に抜いてくれたり、調味料のバランス整えてくれたり、指定した味付け、切り方にしてくれたり、スーパーで買った食材でちょっと好みと乖離があった部分をオプションで好みに寄せてくれる、というイメージです。

実例でいうと、Excelは簡単に並べ替えて帳票のように印刷できますが、kintoneのアプリは帳票印刷は出来ません。
どうしても紙に出して提出する必要がある報告書や申請書の作成には不向きといえるかもしれません。
※せっかくクラウド上にデータ保持してるのに何で印刷?と思われる方もいらっしゃると思いますが、そう簡単にいかないのが中小企業のDXの実態です。

しかし、kintoneには帳票印刷を可能にするプラグインがあります。
これも導入すれば、入力したデータを帳票形式で印刷できるようになります。

プラグインは本当に多種多様で、これらを上手く組み合わせれば、kintone単体では手の届かなかった痒い場所にも手が届くようになります。
孫の手みたいなものですね。

とはいえ、何でも出来るわけではありません。
私の知る限り、2021年7月時点において、kintoneには排他処理はありません。
同じレコードを複数人で編集した場合、最初に保存した人が勝ちます。
2人目以降はエラーが出て、せっかく編集したのに水の泡になってしまいます。

これもプラグインで!と言いたいところですが、こちらもまた2021年7月時点では完全に排他処理できるものはなく、
「このデータは誰かが触ってます」
という注意書きを出せる程度のものしかなく、データを選べなくすることは出来ません。
つまり、気付かずにデータを選べば操作出来てしまうので、完全には防げません。

オススメの導入方法

前述の通り、プラグインは多種多様で、その全てを知り尽くすのは1社内SEでは難しいでしょう

そのため、僕はサイボウズパートナーの方とか、kintoneに精通した方に相談して進めるのが良いと思います。

とりあえずkintoneを導入してから、何をしようか考えるのではなく、導入時に販売店の方と相談して進めると、プラグインも一緒に紹介してもらえます。kintone導入をゴールにしないように、kintone導入時に、どんなシステムが欲しいのか、要件を明確にしておき、どうすればそれが実現できるのか、プロに相談しましょう。

誰でも簡単にアプリを作れそうに感じるのがkintoneですが、
決して素人がプロと同じクオリティのアプリを作れるわけではありません。
最初の設計だけでもプロに手伝ってもらえば、必要なプラグインは揃ってるし方向性は固まってるので、あとのマイナーアップデートは自分で簡単に出来るので、最初は労力も費用も惜しまず、しっかり設計しましょう!

kintoneとは何者か 〜中小企業DXのために理解すべきこと〜

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社内のDXの一環でサイボウズ社のkintoneが導入されました。
誰でも簡単にアプリを作れる「ノーコード」の開発プラットフォームとして注目されているkintoneですが、
結論から言って、「誰にでも簡単に作れる」というものではないと私は思います。
つまり、
「これさえ導入すれば何とかなる!DXだ!」
なんてことはありません。

誤解のないように強調させていただきますが、

「kintoneは優れたシステム」

であることには疑いの余地なく、
私も積極的に社内の業務効率化などに活用したく、有料の研修を受けています。

kintoneとは何者か、
その前に私は何者なのか、と思われた方は、以下の記事で私が社内でどういう立場の者かご理解いただけると思います。

https://matsublog2021.hatenablog.com/entry/2021/06/25/220524

端的には、前職が上場企業のSEだったので、現職はエンジニア職でないにも関わらず、社内SEの真似事をしている者です。

今回はそんな私が社内でkintone導入を進めるにあたって感じたことを、実体験を交えて記したいと思います。
kintone導入を検討されている方の参考になれば幸いです。
なお、改めて強調します。

  1. kintoneは優れたシステム
  2. ITリテラシーが高くない中小企業の味方

kintoneとは?

簡単に言うと、プログラミングなしでソフトが作れるソフト=開発プラットフォームです。
「ノーコード開発」ていうカテゴリーに入ります。

プログラミングってアルファベットとか数字いっぱい並んでるイメージありますよね。
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この暗号みたいな文字群を書かずにソフトウェアを作れるってことです。

なぜ、そういうことができるのか?

プログラミングでよく使う部品みたいなのをいっぱい用意してくれていて、それらを組み合わせるだけで、ソフトが出来るってことです。

プラットフォームはスーパーマーケット

私は開発プラットフォームとはスーパーマーケットのようなものだと考えています。
品揃えの良さや食品の鮮度、お惣菜の充実度など、スーパーによって特徴は様々です。
今日はお肉食べたいなーと思ったら、お肉の安いスーパーに行ったり、お惣菜で済ませようと思ったら、お惣菜が人気のスーパーに行くなど、要件に応じてスーパーを選びます。
身近な例では、表計算ソフト作りたいならExcelを使い、文書作成ならWordでやります、みたいなことです。

kintoneは○○

私はkintoneはCostocoみたいな巨大スーパーだと考えてます。

スーパーには色んな食材がありますが、
特にこのkintoneスーパーには料理下手な人でも美味しく作れるように下味付けてくれてるものや切ってくれてるものがたくさん陳列されています。

そのため、あとは焼くだけで美味しいご飯が出来ますよっていうくらい便利なのがkintoneの良さです。
kintoneさえあれば何でも出来る、
はウソではなく、非常に多くの種類の料理が作れる環境がkintoneにはあります。

そのため、誰でも料理人=開発者になれるので、どんどん料理を作ろう!なんて気分になります。

料理当番を決めよう

誰でも簡単に料理を作れる、は大きな魅力ですが、一方で、当番を決めておかないと料理で机の上がすぐにいっぱいになります。

同じ料理をそれぞれ別の人が作ったり、食べ合わせの悪い組み合わせで料理が出来てしまったり、メイン料理の前にアイスクリームが出てきたり、献立がぐちゃぐちゃになります。

その食卓に座る人=従業員またはオペレーターの人は、

何から食べたらいいのか、
こんなにも食べられない、
さっきも似たようなの食べたなー、

と不満を持ってしまいます。
従業員の業務効率化で喜んでもらうためのkintoneが逆効果となってしまいかねません。

そのため、私は当番をハッキリ決めておくべきだと思います。

お肉料理担当の料理人、
お魚料理担当、前菜担当、デザート担当・・・
各カテゴリ=業務内容別に担当分けして、
料理=アプリは誰が作るのか、
区分けしておけば、焼き魚と煮魚が同時に食卓に並ぶことはないでしょう。

そして献立全体のバランスをみるチーフシェフみたいな人がいれば、料理を出す順番とか、それぞれの量も調整できて、食べる人のことを考えた献立になります。

実体験、中小企業失敗例

私の職場にもkintoneが導入されました。

kintoneさえあれば何でも出来る!

それが経営陣の心を掴み、導入に反対意見は出ませんでした。

しかし、何を作るのか。
誰が作るのか。

献立も料理人も決まっていません。
何でも作れるから、とりあえずkintoneスーパーに行きましたが、各人がウロウロ闊歩するだけで、カートに食材をなかなか取りません。

一方では、面白がってどんどん買って料理を作る人たちもいます。

ウチの会社では顧客管理のソフトを3人くらいが別々で作っていました。
ビーフカレーとチキンカレーと夏野菜カレーが食卓に並んだ感じです。

また見積を作るソフトを作る人もいましたが先ほどの顧客管理のソフトとは全く連携しておらず、どの顧客に見積を出したかを顧客管理ソフトに反映はできません。
つまり、十分に便利なものではありません。

度々、
ソフトは使う人のためのものなので、現場からの要件のヒアリングや全体設計、運用ルールを決めましょう、
と訴求しましたが、

何でも出来るんだから大丈夫!

という謎の自信で却下され、いまだkintoneを使いこなせていない状態です。

悪しき心の持ち主は筋斗雲に乗れないように、
ITリテラシーが低過ぎるとkintoneは乗りこなせないのです。

導入成功のために

私は導入を成功させるためには、社内からITリテラシーが高いメンバーを選抜して、旗振り役にすべきだったと思います。

あるいは、社内に適切な人材がいないなら、kintoneの販売店中小企業診断士ITコーディネーターなどに相談するのがいいと思います。

繰り返し強調しますが、
kintoneは優れたシステムです。

ただし、キッチンが高価なものだからといって美味しい料理ができるわけでないのと同様に、システムの価値を引き出すのは使い手です。

自動運転技術が進歩しても、無免許の人を運転席に座らせたくないですよね?
いざというときにはハンドルを切らないといけないかもしれないので、せめてペーパードライバーでもいいから免許保持者に座ってて欲しいし、欲を言えばタクシードライバーとか運転のプロに座っててもらえればより安心です。

kintoneは、ペーパードライバーがプロドライバーと同じような運転が出来るようなシステムではなく、ペーパードライバーよりプロドライバー、プログラミング素人よりプログラミング経験者の方が使いこなせるシステムです。

まとめ

kintoneは優れたシステム
ただし、用法用量は大事!
何でも出来る、より、何がしたいか

プラグイン、カスタマイズ

次回はkintoneの特徴の一つでもあるプラグインやカスタマイズについて記したいと思います!
何でも出来るkintoneですが、出来合いの部品の組み合わせでは痒いところに手が届かない!
そんなあなたにプラグイン

中小企業DX失敗例 スモールスタートって何?今ドキのプロジェクト進行とは?

私は前職が上場企業のSEということで、現職の中小企業ではエンジニア職ではありませんが、社内システムに関する業務にも従事しています。

コロナ禍でWebの重要性を猫でも感じ始めたころ、
「Webをするんだ!」
というGoogle翻訳したんかっていうような日本語の指令が出ました。

Webに力を入れる、といっても選択肢は無数にある中、私はリスティング広告とランディングページに目をつけました。
その辺の詳細は以下の別記事をご覧ください。

https://matsublog2021.hatenablog.com/entry/2021/06/25/220524

リスティング広告とランディングページを「24時間365日働ける営業」と称して、新規案件の獲得をしましょう!という内容の提案書を作成し、いざプレゼンに挑んだときのお話を今回は記します。
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私の提案

リスティング広告とランディングページの運用をするにあたって、私は出来るだけ速く公開して、効果測定しながら進めていくために、最小限必要なものをリストアップしました。
そのためにまず行ったのは、予算度外視したフルパッケージの運用図を書くことです。
思いつく限りWebマーケティングに活用できるものをリストアップし、それらを線で結び、運用図を作りました。

次に、その中から絶対に無くてはいけないものや無料でも用意できるものに絞っていきました。これはスモールスタートという考え方に基づいています。スモールスタートについては以下の記事に書いています↓

https://matsublog2021.hatenablog.com/entry/2021/07/07/214839


その結果、以下のようなプランを立てました。

集客

有償:リスティング広告、DM
無償:SNS、ブログ

Googleの広告アカウントを取得して、月10万程度からリスティング広告に出稿。代理店挟まないので手数料かからないし、自分たちでキーワードや単価を変えながらPDCA回しやすいので、データが取りながら最適解を探していこうと考えていました。
他には、ブログやSNSなど、無償で使えるツールを定期更新していくことも検討しておりました。

販促

有償または無償:ランディングページ

ランディングページは色々調べた結果、テンプレートがあちこちに落ちてたり、ペライチのように簡単にランディングページを作れるサービスがあったり、品質はともかく、作るだけなら無償で作れることがわかりました。ただし、製作はスキルが必要なので、ここは外注もありかな、とリスティング広告だしたら無償でランディングページ作ってくれる業者などをリストアップしておきました。

潜在顧客管理

無償:ExcelAccess

いわゆるMA(マーケティングオートメーション)を導入するのが最大の形として、まだまだ効果未知数なものに月何万円は掛けれないだろうと思い、最低Excelでの管理、出来ればAccessで最低限の作り込みをしようと思い、MAで出来ることを調べ、Accessで作れる範囲を検討しました。

運用方法

このように最低限の予算、準備で運用を始めて、PDCAを回していきましょう、という方向で考えていました。
クリック数が少なければ、広告を見直し、SNS流入が少なければ、SNSの更新方法を見直し、ランディングページ訪問者は多くても資料請求や問い合わせが少ない場合は、ランディングページを見直し、場合によってはそこに追加予算を投下する、という計画を立てておりました。

また、初の試みなので、ノウハウが私に属人化せずに、チームとして蓄積できるようにするため、有志でWebマーケティングに関わりたい人を部署問わず募ることも計画しておりました。

玉砕

プレゼン準備を終え、いざプレゼン本番を迎えました。


結論:よくわからないから電通とか博報堂とか有名なところに丸投げしよう!

水泡と化す、を辞書で引くと載っている例文ですか?
以下、最高決裁者とのやり取りです。

「それだとノウハウも残らないし、うまくいくかどうかは一発勝負のギャンブルみたいになりますよ?」

「何でもプロに任せておけば大概は問題ない」

「予算だせるんですか?」

「そこを抑えるのも君の仕事だろ?」

馬の耳に念仏を唱え続けるのはもうやめよう、と思い、プレゼンは終了しました。
馬にもわかるプレゼンにしなかった私の責任です。

上司はこの規模の仕事を電通が受けてくれるか悩んでましたが、問題はそこじゃない!

とりあえず現実路線で何社かWeb広告の代理店などをリストアップし、RFPのようなものを出して、業者を選定することにしました。

まとめ

プレゼンの反省点として、詳細を説明し過ぎたのかな?と思いました。
細かいことを言われるとキャパを超えて、そんなに難しそうならプロに任せろ!という流れになってしまいました。
大したことないんで、こっちでやりますねー、くらい流しておけば良かったんだと思います。

わかってくれない!と人のせいにしても、そこは自分の力でどうにかできる部分ではないので、無理矢理にでも自分の悪かった部分を見つけることにしています。そうでもしないと、この仕事は進みません。
わからないけど、経験と勘に基づいて何か言いたいのが経験と勘の時代に成功した経営層です。成功体験があるので、簡単には覆らないので、覆す方法ではなく、うまく騙す方法を考えるのも必要そうです。

ブラック企業に勤めてたんだが俺はもう大丈夫かもしれない

私はブラック企業に勤めていました。
それはもう今だからこそ笑えるブラックエピソード満載で、
ブラック企業って実在するんだなーと今になって思います。
今回はブラックエピソードの一部を紹介しつつ、当時の私の失敗と、振り返ると良かったと思えた部分を記します!
中小企業奮闘記のエピソードゼロとしてお楽しみくださいませ!
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入社まで

私は新卒でとある上場企業にSEとして採用していただきました。
リーマンショックの影響もあって、景気が決して良くない中で、上場企業に拾っていただけたのは、本当に嬉しくて、張り切って働くぞ!と考えていました。

そもそも、私は外国語学部卒で、技術のことはズブの素人でした。
教職を志して高校英語の教員免許も取得してますが、在学中に教職という仕事のブラックな環境に嫌悪感を感じ、教職になるのはやめました。

就活は何となく営業職で探していました。
これといった特技もなく、何となく1番募集の多い営業職を志望していました。

しかし、ある日のこと、求人サイトを見ていると、エンジニアの求人でも文系募集のものが多いことに気付きました。

だったら、これからの時代、プログラミングは覚えておいた方がいい!と思い、就活の方針をエンジニアに転換しました。

内、1社が内定をくれた上場企業でした。

社長との最終面接では、回答に少しでも間が空いてしまうと、
「落とすよー」
と言われ、何とか間を開けないように喋りながら話を整理していました。
今考えたら圧迫面接気味でしたが、当時はそんなこと気にならず、ちょっと怖い人だなー、くらいでした。
内定はその日のうちにいただきました。

入社1年目

同期は10人でした。
入社後1か月くらいは研修期間でした。
Accessを中心に、プログラミングを勉強しました。
研修期間の途中、新人歓迎会がありました。
とある役職者の方の挨拶が忘れられません。

「君たち(新人)は会社の負債です。」
「戦力になるまでは、お金をもらって勉強しているのだということを肝に銘じてください」
「だいたい3年間くらいは負債です。そこから会社に借金を返していってください」

2年半で辞めたわたしは借金大王ですね。

業務が始まると、一年目は勤務実績ないので、みなし残業に出来ない、とのことで上長から許可が出るまでは残業禁止、15分単位で残業がつくので定時ダッシュするように言われました。

これだけ聞くと、ホワイト企業ですよね。

1月くらいのある日、帰りにエレベーターで社長と一緒になりました。
翌日、上司に呼ばれ、なぜ残業していないのか?とお叱りを受けました。
上司は社長に、お前の部下はなぜ残業していないんだ?とお叱りを受けたそうで、そのまま私にぶつけてきたそうです。
残業してもいいならしますけど、何か仕事ありますか?と聞くと、何か考えるけど、何もなくてもとりあえず定時ダッシュはするな、と指示をいただきました。

ほどほどに残業しはじめたある日、
上司から、土曜日空いてるか?と聞かれました。
大丈夫ですけど、何か仕事ですか?
と聞くと、
いや、また考えるけど出勤することにしといてね、
って言われました。
聞くところによると社長に、
お前の部下は何で土曜日に出勤していないんだ?
と、お叱りを受けたそうです。
なので、とりあえず土曜日に出社させようという魂胆のようでした。
結局、金曜日にカスタマイズの仕様書渡されて、よろしくーって言って上司は定時に帰って行ったので、その日のうちに終わらせて土曜日は出社しませんでした。

退職まで

2年目以降、後輩もできて任される仕事も増えてきました。
同時に何個ものプロジェクトにアサインされるので、退社はいつも23時以降でした。
タイムカードは工数計算を抑えるために18時に押します。

そして、会社は今までにない超特大案件受注がほぼ確定!となり、私は退職を決意しました。
どう考えても会社のキャパが足りてなく、全員パンクするしかないと思えたからです。

身についたもの

過酷な環境でしたが、その分、私は精神と時の部屋でプログラミングを学べたと思っています。
プログラミングを身につけたくてエンジニアを選んだので、そういう意味では大成功でした。
環境は劣悪ですが、上場企業なのでウデは確かでした。
現職場のプログラマーと比べても設計、プログラミング、テストなどあらゆるスキルが高く、発想も豊かでした。
今、中小企業でのDXという旬な仕事に関われているのは、間違いなく、当時の経験があったからです。
プログラミングが小学校でも取り入れられるようになった現代、机上の学問でなく、現場で活きた経験を積めたのは大きいと信じています。

まとめ

ブラック企業に勤めることは決してオススメは出来ませんが、
そんな環境だからこそ、身についた知識や技術が今の私の仕事には役立ってます。
2年半働きましたが、そんなに長く勤めたのは、その環境がブラックだと当時は気づかなかったからです。
周りの人に、
その会社大丈夫?
と言われるまでは疑問にも思いませんでした。

終身雇用の時代は終わり、むしろ技術さえあればフリーでも生きていけるので、
もし今、ブラック企業で頭を抱えている方は、悲観せず、技術だけ盗んでさよならすることも是非視野に入れてください!

KPIとKGI 〜例えで理解する正しい使い方〜

アルファベット3文字語って世の中にすごく多いですよね。
CRM, LTV, KPI, KGI......
十分な知識がないと、一つの記事を読むのに、いちいち調べないと読めません
しかし、調べてみると、アルファベット3文字語を新たなアルファベット3文字語で解説されており、どんどん深みにハマるケースもあります。
このアルファベット3文字語のことを個人的には「意識高い系語」=イタ語と呼ぶことにしています。

https://matsublog2021.hatenablog.com/entry/2021/07/08/221202

以前、このブログ内でCRMとLTVについて、
クリームパンを例に説明してみました
今回も出来るだけわかりやすい形で難しい用語の説明をしてみます!

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KPIとは?

KEY
PERFORMANCE
INDICATER
の略で、
日本語では
「重要業績評価指標」
と訳されています。

何かキャンペーンとかプロジェクトを動かす際に、うまくいってるかどうかを測るための指標です。

見積を何件提出したか
商談は何件あったか

などアクションの数を示すものです。

KGIとは?

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似て非なる言葉にKGIというものがあります。
KEY
GOAL
INDICATER
の略で、
日本語では
「重要目標達成指数」
と訳されています。

こちらは、

売上は何円だったか
何件成約したか

など、結果数値になります。

KPIとKGIの使い方〜パン屋さんの例〜

ここまでの説明で、大枠は捉えられるかもしれませんが、
我ながら、やはり曖昧です。

そこで、パン屋さんを例に見てみましょう。

とあるパン屋さんは7月は「初夏のパン祭り」と謳い、1か月のキャンペーンをすることにしました。
目標は月の売上100万円です。
この100万円という金額がKGIにあたります。

100万円という目標を達成するために、以下のアクションを考えました。

  • ビラ配り:1000枚

これらがKPIになります。
広報担当は1000枚のビラを配るために、どこで配るのか、いつ配るのかなど、配り方の検討に励みます。

さて、7月に入り、キャンペーンが始まりました。
広報担当は街に出てビラを配ります。

7/10、思ったより売上が伸びていません。
KPIを確認すると、まだ150枚しか配れていません!
担当に確認すると配ろうと思ったエリアが思いのほか人通りが少なかったとのことでした。
そこで、翌日からは配布エリアを変えることにしました。
翌日からは、1日の配布枚数を記録および報告することにして、順調に配れていることを確認しました。

7/31になり、いよいよ売上の確認の時が来ました。
さて、気になる結果は!?
100万円達成です!
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途中でKPIを見直し、方法を変えたのが功を奏しました!

なぜKPIが必要か〜目標を明確に〜

なぜKPIを設定するのか、
それは誰が何をすればいいのかを明確にするためです。

先ほどのパン屋さんの例では、
「広報はビラを配りましょう!」
っていうのが明確でした。
そのため、途中でうまくいかなかったとき、
「どうやったらもっとビラを配れるか」
に改善方向を限定することが出来ました。
もしKPIがなければ、
SNSでの宣伝に切り替えましょう!」
「価格を下げて呼び込みましょう!」
「目玉となる新商品が必要です!」
とか、バラバラな意見が出てしまいかねません。

KPIの正しい設定方法

行動をぶれさせないのがKPIなので、このKPIは確実に効果的なものである必要があります。
その指標として、SMARTといわれる考え方があります。

SPECIFIC 明確に

内容が曖昧だと頑張る方向が見えてきません。例えば、
「広報は本気で頑張りなさい!」
ではいけない、ということで、
何をやるのか、を明確にしましょう!

MEASURABLE 計測可能

簡単に言うと、数値目標にしましょう、ということです。
「接客担当は元気よく笑顔で挨拶しましょう」では、数値化できないため、問題が発生しているのかどうか計測できません。
パン屋さんの話では1000枚と決めていたので、ペースが順調かどうかを判断できた、ということです。

ACHIEVABLE 達成可能

例えば、
「ビラ配りは1億枚!」
と言われると、配れる気がせず、むしろモチベーションは下がってしまいます。頑張れば出来るかも、くらいの数値を見極めて定めるのが大切です。

KGIと密接な因果関係があるものでないと意味がありません。
「一日三善」
良い行いはきっと実る!
みたいな目標は達成したとしてもKGIへの影響は測れません。

TIME BOUNDED 適時性

簡単に言うと、期限です。
いつまでに、が定かでないと後回しになりかねないので、いつまでにやらなければいけないのかは明確にしておくのが得策だということです。パン屋さんの例では、キャンペーンが7月いっぱいなので、7月中に、というのが明確でした。

まとめ

KPIは誰がいつ何をする、の数値目標
KGIは売上などの結果目標
KPIはKGIを達成するために設定する

CRM 〜アルファベット3文字語解説1〜

アルファベット3文字語の海で溺れそう

この頃、ふと思うこと
いろんな本や記事を読んでいると、
アルファベット3文字語によく出くわす

KPI, KGI, CRM, SCM, CMS, API・・・

覚えられない
そもそも「アルファベット3文字語」っていうのも長い
ギャル語と性質は似てるので、
意識高い系がよく使う言葉
=「意識高い系語」
略して、イタ語と個人的には呼ぶことにします。笑

社内でもたまに、
それっぽい人がそれっぽくイタ語を使うのですが、
「それ違うんじゃない?」
って思うこともしばしば。

何か定義とかしっかり定まる前に、
言葉のキャッチー感から速く広まってしまい、
本来の意味が曖昧になっているのでは?
と思うので、自分なりに各イタ語の定義を記してみたく、筆をとった次第です。笑

CRM

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customer
relationship
management
の略で、
日本語にするなら
顧客管理
とか
顧客情報管理
にあたります。

具体的には、既に自社または店舗のお客様について、過去の購入情報や来店履歴などを管理して、そこから各お客様の満足度をあげる工夫を施して、リピーターにしよう、という手法です。

パン屋さんで例えてみた

とあるパン屋さんがあります
Aさんは毎週金曜日に土曜の朝食用にクリームパンを2つ買う習慣があります
2つ買うのはAさんはクリームパンの大きさに満足していないからです。
しかし、正直言うと、2つでは多すぎて、
このパン屋のクリームパンの味は好きなのですが、
他のパン屋さんにもいいものがないか、探すようになり、毎週金曜日来ていたAさんは、隔週くらいのペースでの来店になりました

パン屋さんはAさんの来店頻度が落ちたことに気づいて不安を覚えました。
このままではAさんは別のパン屋に取られてしまうかもしれません。

パン屋さんは過去にAさんと話した内容をメモしていたことを思い出します。
一度だけ、Aさんは
「1個じゃ足りないのよねー」
って言っていた記録が見つかりました。
そこでパン屋さんは毎週金曜日はクリームパン祭!と謳い、通常の1.5倍サイズのクリームパンを販売することにしました。
ある日、2週間ぶりにAさんがパン屋さんに来ると、求めていたサイズのクリームパンがあるじゃありませんか!
Aさんはもう、浮気しません。
また毎週金曜日、
クリームパンを買いに、
Aさんは笑顔でパン屋さんを訪れるのです。

めでたしめでたし

システムのこととは限らない

CRMというとクラウド上で顧客情報を管理するシステムのことを指してると思われがちですが、本来はその手法を指すもので、システムのことを指す場合は「CRMシステム」というのが多分正式?
ただ、システムが出回ってから有名になったから、
実質的に
CRMCRMシステム
と認識されているだけです。

パン屋さんの例では、パン屋さんは気になった会話をメモしていただけで、システムは使っていませんが、このメモをとることをCRMと言うわけです。
これがCRMシステムだと、
パン屋さんは来店ログから、
来店頻度が落ちた人を条件抽出

するとAさんがリストアップされたので、
Aさんの購入履歴や対応履歴を確認

するとクリームパンの大きさについてのコメントが残っていたので、
それをもとにキャンペーンメールをAさんに展開

みたいなことです。

LTVの向上

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クリームパンの話は、
「サイズ大きくしたので利益が減って損ではないか」
という見方もできます。
しかし、目先の利益は確かに減りますが、
長く店を続ける上では、
リピーターが定期的に落とす利益の方が遥かに価値が大きいのです

例えば、Adobeがいい例です。
Adobeはそもそもは買いきりのソフト販売でしたが、2007年くらいからサブスクリプションにビジネスモデルを切り替えてます。
高いイニシャルコストより、安いイニシャルコストの方がユーザーのハードルは低く、導入してから長く使ってもらえる、ということです。
今ではAdobeの売上構成の90%以上がサブスクリプションの売上です。
目先は損してるように見えますが、
長い目で見ると、ユーザーは満足しているので離脱せず使い続け、安定した収入が手に入るので、新規獲得に注力できるようになるわけです。

これをLTVの向上と言います。
新しくイタ語が出てきました。

LIFE
TIME
VALUE

日本語にすると、顧客生涯価値といいます。
1回の買い物での利益ではなく、
長いスパンで、
文字通り最初から最後までの累計で利益をみるということです。

まとめ

つまり、CRMとはお客様の情報を大事にすることでお客様を大事にする手法のこと!
目的はお客様にリピーターになってもらい、LTVを向上させること!

スモールスタート!

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Think big,start small,scale fast

これはGoogleの掲げるプロジェクト進捗の秘訣みたいなものです

簡単に言うと、

構想は大きく
最小範囲で始めて
ガンガン拡張していく

ということです

今回は各フェーズごとに、中小企業あるあるを用いて、プロジェクトの失敗例を説明したいと思います

Think big

たとえば新しい商品を開発したい、という場合

今できる範囲で考えるのではなく、思いつく最良のものを検討する

既存の技術や法令を前提として考えると、
これはできない
これは法に触れる
とか考えて思想を制限してしまう

Google
技術がないなら創ればいい
法令なんて変えてしまえばいい
くらいに考えていて、
まずは思想に制限を加えずに
ベストを考える

一方で、
失敗するケースでは、
持っている技術の範囲内で
ルールの範囲内で
そんな制限付きで考えるので
既存のものに毛の生えたくらいのものしか出来てこない
現行品よりベターなものにとどまってしまう

以下、中小企業勤務の私の経験談です。
新しいパッケージソフトウェアを作ることになったときに
ブラウザソフトにしようという提案がありました
複数拠点で使うユーザーを想定して、
インストールが一箇所で済むブラウザソフトは需要があるだろう、ということでした
クラウドじゃないのはご愛嬌

しかし、その案はその場で却下されました

Webアプリケーションを作ったことがあるエンジニアが社内にはいない

それが1番大きな理由でした

でも、それでは金輪際、Webアプリケーションを作ったことがあるエンジニアが入社しない限りは、
うちの会社はWebアプリケーションを作れないことになります。

多分、Googleならこう考えるでしょう

「Webアプリケーションを作ったことがあるエンジニアを雇えばいい」

あるいは

「Webアプリケーションを作ったことがあるエンジニアになればいい」

出来ない理由を数えるのではなく、
出来るようになる方法を考える!

Start small

いきなり多額の投資をしてギャンブルにでるのではなく、
少しずつ実証実験(PoC)などを繰り返し、
データをとっていく
とれたデータをもとに、次にどこに注力すべきか、など次フェーズの検討をする!

開発手法におけるアジャイル開発と似たような考えだと思います。

大きな構想だからこそ、着実にデータをとり、PDCAが必要なんです!

私の経験談@中小企業
うちの会社でもそろそろWebマーケティングに力を入れないといけないなー
ってなった頃、
取り急ぎ、無料のテンプレートなどを利用してランディングページを作成し、
リスティング広告は最低限の上限金額からスタートしましょう、と提案しました。
実際にどれくらいの集客効果があるのかはやってみないと分からないので、
その先にランディングページから実際に問い合わせなどもらえるかはさておき、
リスティング広告を使って集客効果を測定しましょう、という趣旨でした。

この提案は3秒で却下されました。

大手の広告代理店でも捕まえて、どかっと投資すれば良いんだ!
ランディングページも無料なものだとクオリティが知れてる
プロに丸投げするのが1番だ!

そこからは信頼できる業者を探し、
ランディングページの作成、校正、問い合わせフォームの作成、広告設定の打ち合わせなどを業者と進め、リスティング広告運用開始までは結局9ヶ月かかりました
さらに、集客効果はそれなりにあるもランディングページからの問い合わせは少なく、
ランディングページのマイナーアップデートも試したいけど、
業者が作ったものなので簡単には触れません

最初に集客効果とか訪問者の傾向が掴めていれば、ランディングページの作り方も変わったいただろうに。。。
ノーデータで推定だけでデザインしたものはギャンブルのようなもので、今回は負けたといえるかもしれません。

良いものを作るにはデータが必須!

Scale fast

最後は素早く展開しろ!です。

スモールスタートでデータを蓄積し、
勝ちパターンを見つけたら、
すかさずそれに注力しなさい!

っていう感じでしょうか。

スモールスタートをきって、
やりながら検証していくなかで、

あの業界がアツいぞ?

とか、

こんなサービスがまだ市場にない

とかを見つけたら、
そこに注力してスピーディーに商品開発や販売戦略を展開していきましょう!
競合に取られる前に、
まだブルーオーシャンな内に、
さっさと自分たちのフィールドにしてしまいましょう!

そして中小企業の失敗例です。
8年くらい前、とあるサービスの構想で特許を取得しました
当時にインターネットなどで競合を探した限りでは似たようなものはあっても、
そのサービスは優位性が高そうでした。
8年経った今、そのサービスはまだ完成していません

このサービス開発を主担当する人はおらず、
みんな兼任。
さらに仕様変更を何度も繰り返し、
細かい条件分岐やイレギュラーへの対応案に何度も頭を悩ませ、
そんなこんなで8年経ちました

改めて市場調査すると、
似たようなサービスは増えて、
OSSまで提供されていて、
うちの優位性は消え去っていました。。😭

もっと早く形にして、
世に出せていれば、
業界のデファクトスタンダードになっていたかもしれません。

まとめ

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夢は最初に語る!
夢へは一歩ずつ近寄る!
夢への道は進路変更してもよし!
夢の形がハッキリ見えたら一気に駆け抜けろ!